内訳明示 経費アシスタント改正建設業法対応・建設業の見積実務ガイド
建退共 掛金計算ガイド
公開:2026年7月14日 / 掛金日額320円(現行)対応

建退共掛金の計算方法|掛金日額320円・人工方式と購入率方式

建設業退職金共済(建退共)の掛金は、見積書・工事費内訳書に内訳明示が求められる経費のひとつです。計算方法は「人工方式」と「購入率方式」の2通りで、掛金日額は1人1日320円(令和3年10月改定・現行)。本記事では2つの計算方法の使い分けと具体的な計算例、2025年12月からの内訳明示義務化について実務者向けに解説します。

この記事の内容 1. 建退共とは(建設業退職金共済制度) 2. 計算方法① 人工方式(延べ人工 × 320円) 3. 計算方法② 購入率方式(総工事費 × 購入率) 4. 見積書への内訳明示(2025年12月から義務化) 5. 掛金日額の改定動向に注意 6. よくある質問

1. 建退共とは

建退共(建設業退職金共済制度)は、建設現場で働く技能労働者のために国が設けた退職金制度です。事業主が労働者の就労日数に応じて掛金を納付し、労働者が建設業界を離れるときに、それまでの掛金納付実績に応じた退職金が支払われます。事業主を変わっても掛金は通算されるため、現場を渡り歩く建設技能者の処遇を支える重要な仕組みです。

掛金日額は1人1日あたり320円です(令和3年10月に310円から改定され、現行)。従来の証紙貼付方式に加えて、電子申請方式でも納付できます。

2. 計算方法① 人工方式(延べ人工がわかる場合)

最も正確で基本となる方法です。対象労働者(被共済者)の延べ就労日数に掛金日額を乗じます。

計算式

建退共掛金 = 延べ人工数 × 320円

計算例

工程表から想定される延べ人工が50人日の場合:
50人日 × 320円 = 16,000円

入札・見積の段階では、工程表や歩掛から想定人工数を積算して算出します。実績ベースで根拠を示せるため、内訳明示の説明力が最も高い方法です。

3. 計算方法② 購入率方式(延べ人工がわからない場合)

延べ人工の把握が難しい場合は、総工事費に「購入率」を乗じて証紙購入額を概算する方法が使われます。

計算式

建退共掛金 = 総工事費 × 購入率(‰)× 加入率補正

加入率補正 = 対象労働者の加入率 ÷ 70%(購入率表が加入率70%を前提としているため)

購入率は工事の種類(舗装・橋梁・建築・設備など)と総工事費の規模区分によって異なり、建退共本部が「掛金収納書の的確な貼付のための購入率」として公表しています。工事規模が大きいほど率は小さくなる傾向があります。

計算例

総工事費500万円・舗装工事(該当区分の購入率3.5‰)・加入率70%の場合:
5,000,000円 × 3.5/1000 × (70/70) = 17,500円
→ 証紙は320円単位で購入するため切り上げて 17,600円

入札で使う際の注意

購入率は工事種別・総工事費区分のほか、建退共支部や年度によって扱いが異なる場合があります。入札書類に用いる際は、必ず発注機関の指定または建退共本部の最新の購入率を確認してください。確実性を重視するなら人工方式(延べ人工 × 320円)が推奨です。

4. 見積書への内訳明示(2025年12月から義務化)

2025年12月12日施行の改正入契法により、公共工事の入札時に提出する工事費内訳書には、材料費・労務費・法定福利費・安全衛生経費とならんで建退共掛金の内訳明示が義務化されました。民間工事でも、必要経費を内訳明示した見積書の作成が努力義務とされています。

建退共掛金は「適正な施工を確保するために不可欠な経費」として法令に位置づけられており、著しく低い額での見積りは禁止の対象です。改正の全体像は5項目内訳明示の解説記事建設業法改正まとめを参照してください。

5. 掛金日額の改定動向に注意

掛金日額320円は令和3年10月の改定以来据え置かれていますが、厚生労働省で建退共制度の見直し(掛金日額の上限引き上げ等)が検討されており、今後改定される可能性があります。年度をまたぐ工事や来年度以降の見積りでは、建退共本部の最新情報を確認してください。

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6. よくある質問

Q. 建退共の対象になるのは誰ですか?
A. 建設現場で働く技能労働者(大工・とび・左官など、いわゆる現場作業に従事する人)が対象です。事業主や役員、現場作業に従事しない事務職員は原則対象外です。
Q. 退職金はいくらもらえますか?
A. 掛金の納付月数に応じて決まります。掛金納付が24月以上で支給対象となり、具体的な金額は建退共本部の退職金試算(シミュレーション)で確認できます。
Q. 公共工事と民間工事で扱いは違いますか?
A. 公共工事では発注機関が掛金相当額を積算に計上しており、受注時に掛金収納書の提出を求められるのが一般的です。民間工事でも建退共の加入・履行は推奨されており、見積書への内訳明示が努力義務となっています。

本記事は建設業退職金共済事業本部・国土交通省等の公開情報(2026年7月時点)に基づいて作成しています。掛金日額・購入率は改定される場合があります。実際の見積書・入札書類の作成にあたっては、建退共本部の最新の公表値と発注機関の指定様式をご確認ください。

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